問題の概要
最初に、第30回実技(論述)試験問題の概要を簡単に紹介します。
相談者は21歳の大学生(男性)。3年生の7月にそろそ就職活動を始めなければと考えて相談。安定した会社に就職したいが、内定をもらえるか不安。活動の仕方をもらいたいと考えている。
問題と解答用紙は、CC協議会のサイトを参照しました(2024年6月8日アクセス)
全体的な印象
「攻略法」や「必勝法」を求めていることが印象的で、もしかしたら第三者が設定した枠組みの中で効率よくポイントを稼ぐゲームのように就職活動を捉えているのかもしれないと感じました。しかし、あらためて実技の傾向に目を通してみると、相談者の真の問題は就職活動の不安にあるとのことだったので、相談者は就職活動をゲームのように捉えているとは言えないと思い直しました。
相談者と同じ平面に立ち不安な気持ちを共感しながら、相談者が自らの人生を切り拓くプロセスの中に就職活動を位置づけて考えられるように支援することができればと考えました。
私の解答と振り返り
今回の振り返りは、協議会が公表する実技の傾向を主に参考にしました。
問1 相談者が相談したい「問題」は何か
■私の最初の解答
就職活動を始めるに当たり、大学のキャリアガイダンスには参加して大体のスケジュールや自己分析の大切さはわかった。大企業などの安定した会社に就職したいが、内定が取れるかどうか不安である。どうしたらよいかわからないので、就職活動の仕方を知りたい。 |
(振り返ってみて)
解答欄に余裕があったので、私の印象に残った「攻略法」や「必勝法」という言葉も記す方がよいと考えました。ウェブ上の解答例でもこれらの言葉に言及していました。また、大企業について親から言われたことも言及することにしました。
これらの言葉を追記して書き直してみました。
■書き直し後の解答
就職活動を始めるに当たり、大学のキャリアガイダンスには参加して大体のスケジュールや自己分析の大切さはわかった。できれば「攻略法」や「必勝法」みたいなものがあれば知りたい。親の言うような大企業などの安定した会社に就職したいが、内定が取れるかどうか不安である。どうしたらよいかわからないので、就職活動の仕方を知りたい。 |
問2 キャリアコンサルタントとして考える、相談者の「問題」は何か
■私の最初の解答
「内定をもらいやすい業界」や「あれば有利な資格」、「必勝法」があると考えており、就職活動に対する理解が不十分。仕事について「あまりイメージできていない」「親は安定が大事」と言っている程度に留まっており、仕事に対する理解が不十分。親から営業に向いていると言われた、パソコン作業が苦でないので事務系の仕事程度に留まり自己理解が不十分。相談者自身が今後どのようなキャリアを形成していくかを考えている様子がなく、ライフプランを描けていない問題がある。 |
(振り返ってみて)
実技の傾向では、「問題の背景にある相談者の就職活動に対する不安」を「相談者の真の問題」と捉えているようでした。この点を解答に反映する必要があると考え、解答の第一文を修正することにしました。
そのほかは、自己理解不足、仕事理解不足を指摘する際には事例に則した根拠を具体的に挙げることが求められていました。この点については対応できているのではないかと思いました。
最後の文の「ライフプラン」は問3と整合的にするために「キャリアプラン」に変更する方がよいと考えました。
■書き直し後の解答
「攻略法」や「必勝法」を求めているが、就職活動を理解できていないために不安を抱いているおそれがある。親から営業に向いていると言われた、パソコン作業が苦でないので事務系の仕事、程度に留まり自己理解が不十分。仕事について「あまりイメージできていない」「親は安定が大事」と言っている程度に留まり、仕事に対する理解が不十分。相談者自身が今後どのようなキャリアを形成していくかを考えている様子がなく、キャリアプランを描けていない問題がある。 |
問3 上記2つの問題を合わせ、相談者を援助するための目標と具体的方策は何か
■私の最初の解答
①目標 相談者が自分自身が大切にする価値観や得意とすることなどの自己理解を深め、それを活かした仕事にどのようなものがあるかを理解した上で、将来のキャリアプランを持ちながら相談者が自立的に就職活動を進められるようにする。 |
②方策 内定を得られるか不安であり、就職活動をどのようにすればよいかわからないという相談者の気持ちを傾聴し、受容・共感することでラポールの形成を図る。相談者の了解を得て、ジョブカードを用いて相談者自身の価値観やこれまでの生活で得たことなどを書き出して一緒に自己理解を深める。了解が得られれば次に、ジョブタグを用いて相談者の興味関心や得手不得手を踏まえた職種や職業を一緒に探して仕事について具体的な理解を深める。また、必要に応じて業界や企業に関する情報の入手方法を伝える。自己理解や仕事理解の深まりにあわせて、相談者の将来のキャリアプランを一緒に考え、相談者が不安を減らして、将来のキャリアプランの実現に向けて主体的に就職活動を行えるように支援する。 |
(振り返ってみて)
目標と方策のいずれにおいても、「相談者の真の問題」である「就職活動に対する不安」を解消する旨を明記する方がよいと考えました。ジョブタグに関する記述は、ジョブタグの用語を用いる方が良いと考えました。②方策のCCからの情報提供の記述は(必要に応じて業界や企業に関する情報の入手方法を伝える)、問2までの解答内容とは必ずしも結ぶついておらず唐突な印象があるために削除する方が良いように思うために削除することにします。
①目標 相談者が自身の価値観や能力などの自己理解を深め、それを踏まえた仕事を理解できるようにすることで、就職活動に対する不安を減らし、将来のキャリアプランを持ちながら相談者が自立的に就職活動を進められるようにする。 |
②方策 内定を得られるか不安、どう活動すればよいかわからないという就職活動への不安を傾聴し、受容・共感することでラポールの形成を図る。相談者の了解を得て、ジョブカードを用いて相談者自身の価値観やこれまでに修得した能力などを書き出して一緒に自己理解を深める。次に了解を得て、ジョブタグを用いて相談者の職業興味や価値観、職業特性を踏まえた職業や業種、職種を一緒に探して具体的な仕事理解を深める。自己理解や仕事理解の深まりにあわせて、将来のキャリアプランの検討を一緒に行い、就職活動への不安を減らして、将来のキャリアプランの実現に向けて相談者が自分の意思で主体的に就職活動を行えるように支援する。 |
今回の解答練習で参考にしたウェブサイト
キャリアコンサルティング協議会第30回2級過去問
同 解答用紙
キャリアコンサルティング協議会第30回2級実技の傾向
キャリコンシーオー・解答例
「2級キャリアコンサルティング技能検定実技試験対策」解答例
註
これは模範解答ではありません。合格水準に達しているかどうかは不明です。
ご注意ください。
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