2級キャリコン第22回実技(論述)試験の解答練習

2級キャリアコンサルティング技能士検定試験

問題の概要

最初に、第22回実技(論述)試験問題の概要を簡単に紹介します。
相談者は27歳女性。人事部で派遣社員から無期契約社員になったが、新しい担当がうまくいかず、どうしてよいかわからない。
逐語記録では、なかなかうまくいかない、どうしたらいいのかわからない、自信をなくした、自分が不甲斐ない、不安でいっぱいという言葉が印象的でした。

問題は、CC協議会の解説書を参照しました

全体的な印象

逐語記録からは、新たな担当に対する相談者の戸惑いが伝わってきました。
まず、自己理解に関連付けた解答をできないかと考えましたが、明確な糸口を見つけられず、相談者の思い込み(イラショナルビリーフ)に1つの焦点を当てることにしました。
解答後に読み直してみると、新たな担当に挑戦して乗り越えることを私自身が前提とした内容となっており、どうするかは相談者が自ら決定するという視点が不十分になっていたことが反省点になりました。

私の解答と振り返り

問1 相談者が相談したい「問題」は何か

■私の解答

無期契約に変わり社内研修の担当になったが、思ったより大変でなかなかうまくいかない。すっかり自信をなくした。研修企画の再提出を命じられて、何がよくなかったかわからないが、簡単に弱音を吐くわけにはいかないし、人事部のメンバーに迷惑をかけられない。前のアシスタントの方が向いていると思うが今さら戻してほしいとも言えない。不安でいっぱいとなり、どうすればわからないという問題。

(振り返ってみて)
CC協議会の解説書では、第22回問1に関して「簡単に「問題状況」の記載も加えた方がよい」「論述問題の場合(略)逐語記録でのキャリアコンサルタントの応答レベルが問題状況をあまり把握できているとは思えない場合には、相談者の問題だけでなく問題状況も理解しているということが伝わるような表現をするとよい」(p.51)と記されていました。私の解答でも、こうした問題状況を取り上げているので、その点では妥当な解答になっていたと思います。
WEB上の解答例も参照しましたが、特に修正や追記が必要と考えられなかったので、問1は特に書き直しはしませんでした。

■書き直し後の解答

(特に書き直しませんでした)

問2 キャリアコンサルタントとして考える、相談者の「問題」は何か

■私の解答

新しい社内研修担当の仕事がうまくいかず、すっかり自信をなくし、上司や周囲に対して不甲斐ないと感じており、自己効力感低下の問題がある。簡単に弱音を吐けず、人事部の同僚に迷惑をかけられないと考えており、上司や周囲の支援を得るなど仕事の進め方に対する理解が不足している。自分一人で問題を解決しようとしている面があり、社内でのコミュニケーション不足の問題がある。

(振り返ってみて)
WEB上の解答例では、自己効力感に言及しているものがあり、私の解答(第1文)は特に問題ないと思います。
第2文(仕事の進め方の理解)と第3文(コミュニケーション不足)のどちらも一人で抱えている点で同じことになっているおそれがあると感じました。キャリコンシーオー様の解答例をみて、第2文については仕事理解不足を明確にする方がよいと考え直しました。
CC協議会解説書では、思い込みに焦点を当てた解答例を紹介していました(pp.50-52)。私自身も自分一人で問題を解決しようとしている相談者に思い込みの傾向を感じていたので、第3文で言及するとよかったかもしれないと考えました。
こうした振り返りを踏まえて、第2文と第3文を書き直してみました。

■書き直し後の解答

新しい担当の仕事がうまくいかず、すっかり自信をなくし、上司や周囲に対して不甲斐ないと感じており、自己効力感低下の問題がある。新入社員研修の仕事の意味や内容、業務の進め方などに対して十分理解しておらず仕事理解不足の問題がある。上司や人事部の同僚に迷惑をかけらないと思い自分一人で問題を解決しようと考えている点に思い込みがあり、社内コミュニケーション不足の可能性がある。

問3 上記2つの問題を合わせ、相談者を援助するための目標と具体的方策は何か

■私の解答

①目標
周囲のサポートを得ながら新しい仕事への相談者なりの取り組み方を見出し、それにより失っていた自信を取り戻し不安を取り除くことで自己効力感を高め、今後、自信をもって主体的に仕事を進められるようにする。
②方策
まず、新しい社内研修担当がうまくいかずどうすればよいかわからないという不安な気持ちを傾聴し、相談者の気持ちを受容・共感してラポールを形成する。その上で、以前のアシスタントの際に上司や同僚の支援を得てうまくいった経験を尋ね、周囲の支援が役立つことに気付いてもらうとともに、過去の成功体験により自己効力感を高める。社内研修に関係する上司や同僚の名前や役割を説明してもらい、どのような支援を得られるかを相談者と一緒に考える。その考えに基づいて社内の関係者への声かけを促し、仕事を進める上でのコミュニケーションの充実を図る。新しい担当に関する仕事の進め方の理解を深め、関係者への具体的アプローチを見出すことで自己効力感を引き上げ、相談者が自信をもって今後の仕事への取り組みを決められるようにする。

(振り返ってみて)
全体的な印象でも言及したとおり、新たな担当に挑戦して乗り越えることを前提とした解答となっており、キャリコンによる決めつけと評価されるおそれがあると考えました。
また、相談者一人で解決するという思い込みから解放されて、周囲の支援を得られるようにすることを目指す方向である点については、思い込みは簡単に変えられず、キャリコンの指摘を相談者が素直に受け入れるかどうかはわからないという観点を十分に反映できていないと思いました。CC協議会解説書で「特にこういうイラショナルビリーフは成育歴(ママ)とつながっていると、変えるのに時間がかかります」(p.54)との指摘を目にしたのが、そのきっかけです。
なお、CC協議会解説書で「具体的方策の最初の部分に(略)関係構築の視点を加えてくれると、これも一つの方法かな、実践でも何とかやれそうかなと感じます」(p.54)と記されており、私の解答の第1文がそれに該当すると思うので、キャリコンによる決めつけや思い込むへの働きかけの私の解答の問題部分のネガティブな評価が和らぐかもしれないとは思います。
いずれにしても、相談者の理解を得ながら進めることを明確にして、最終的に相談者が主体的に意思決定できるように、解答を書き直す必要があると考えました。

■書き直し後の解答

①目標
過去の仕事での成功体験などで相談者の
得意を見出すなどして自己効力感を引き上げる。新しい担当で周囲の支援を得る可能性を考慮するなど、相談者なりの仕事の進め方を見出す。これらにより、相談者が自信をもって今後の仕事への取り組みを決められるようにする。
②方策
まず、新しい社内研修担当にまつわる不安な気持ちを傾聴し、今の相談者を受容・共感してラポールを形成する。その上で、以前のアシスタント時に上司や同僚の支援を得るなどしてうまくいった経験を尋ね、その際の成功要因を一緒に考えて自己効力感を高める。企画再提出の相談者の意向を確認の上、可能なら同企画に関係する上司や同僚の名前や役割を聴き、どのような支援を得られるかを相談者と一緒に考える。これにより、仕事内容の理解につなげ、一人で解決しなければという相談者の思い込みに気づき変えられるかを検討する。また、関係する上司や同僚への声かけを促して仕事上のコミュニケーションの充実を図る。以上により、今の職場での仕事を理解して、相談者なりの仕事の進め方を見出すことで、自信をもって今後の仕事に取り組めるように支援する。

今回の解答練習で参考にした書籍とウェブサイト

CC協議会(キャリアコンサルティング協議会)の解説書
『国家検定2級 キャリアコンサルティング技能検定:過去問題に基づく実技の視点、考え方 改訂版』

WEB上で見つけた解答例
キャリコンシーオー・解答例
「2級キャリアコンサルティング技能検定実技試験対策」解答例
佐世保キャリアコンサルティング協議会・解答例

これは模範解答ではありません。合格水準に達しているかどうかは不明です。
ご注意ください。

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